実験レビュー
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マスターコース(小学3~4年生)「大気圧とマグデブルグ半球」
今回の実験テーマは「大気圧とマグデブルグ半球」です。
「あれ?開かない...」今回の実験では、大気圧(=空気の圧力)について実験をしました。空気には重さがあり、その重さによる圧力を大気圧といいます。大気圧を日常で感じることはほとんどありませんが、その力は空気中にある全てのものにあらゆる方向からかかっています。
まず初めに、50℃のお湯を注射器に閉じ込めてピストンを引いてみました。
すると...
ぶくぶくと泡が出てきました!この泡の正体は水蒸気です。水は普通、100℃で沸騰しますが、富士山の山頂では87℃で沸騰します。
水は大気圧に押さえつけられていて容易には沸騰しませんが、 山頂など標高が高いところでは空気が薄く、大気圧も小さくなるので、100℃より低い温度でも沸騰します。
注射器のピストンを引くと、注射器内の大気圧が小さくなるので50℃のお湯でも沸騰するのです。次に、真空容器を使って実験をしました。
ポンプを使って容器内の空気を抜き、ふたをあけてみると...
「えっ?!開かない!」容器内の空気を抜くと内部の大気圧が小さくなり、容器外の大気圧の方が大きくなるのでふたが開かなくなってしまうのです。
逆に、空気を入れることさえできれば、ふたは簡単に開きます。次に、この真空容器に少しだけ膨らませた風船を入れて 空気を抜いてみました。
左:空気を抜く前 右:空気を抜いた後「わぁ~! どんどん風船が膨らんだ!」
「なんで? 風船の中の空気の力が強くなってるの?」真空容器内の空気を抜くことで、風船の外側から働く大気圧が小さくなるので、風船が大きく膨らんでいきました。
山の山頂でお菓子の袋が膨らむのもこれと同じしくみです。
山登りをするときは袋に入ったお菓子を持って行って、実際に確かめてみてください。最後にマグデブルグ半球の実験をしました。
マグデブルグというのは人の名前ではなくてドイツにある市の名前です。
今回の実験はマグデブルグ市で1657年にゲーリケが行った大気圧に関する実験を簡単にしたものです。まず、耐熱皿に穴を空けたキッチンペーパーを乗せて縁を水で濡らしました。
そして、お皿の中心に燃料用アルコールを垂らして、火をつけました。
素早くぴったりともう1枚の耐熱皿でふたをして、水で冷やしました。
これでマグデブルグ半球の完成です。
両手で持って思い切り引っ張ってみると...
「えっ?!開かない!」アルコールを燃焼させて空気を膨張させた後、密閉して冷やすことで空気が収縮して耐熱皿内の大気圧が外の大気圧よりも小さくなるので開かなくなってしまったのです。
「中に空気を入れたら開くんじゃない?」では、やってみましょう!
ひねったり、たたいたり、すきまに爪を入れたり、様々な方法で耐熱皿内に空気を入れることで開けることができました今回の実験で「空気の力は強い」ということを体感できたのではないでしょうか
次回の実験もお楽しみに~♪栄光サイエンスラボ 吉祥寺校
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