実験レビュー
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ポストドクターコース(中学1~3年生)「触媒」
今月の実験は「触媒」がテーマ
地味ですが、非常に大切な物質なのです。「触媒」とは・・・
「化学反応が起こる速度を速めたり遅めたりする物質」のことです!今回の実験では、触媒の働きをする薬品として有名な「二酸化マンガン」と比較のために身近なところにある、「あるもの」を用意しました!
それは、「レバー(肝臓)」です★ 生物の体の中には、「酵素(こうそ)」という触媒の働きをするものがあります。 「消化酵素」という名前でご存知の方も多いと思います。この酵素は、食べ物を分解する時の反応を速めてくれるのですね。
実験では、オキシドール(過酸化水素水)に二酸化マンガンや生レバーを入れ、過酸化水素水の分解反応により 「気体」が発生することを確かめました。
そして、この「気体」を水上置換法で集めて・・・
そこに火のついた線香を入れてみると・・・
「線香が激しく燃えたから・・・やっぱり気体の正体は酸素だ!」
さすが、すぐに見破ってくれましたね。今回の実験はここからが本番です
二酸化マンガンと生レバーをそれぞれ次の3つの条件下におくと、触媒としての働きにどのような変化が現れるか、 比較実験しました。
【条件:①水に入れ、加熱する ②うすい塩酸に浸ける ③薄い水酸化ナトリウム水溶液に浸ける】それぞれの条件で処理をした後、過酸化水素水を入れて反応を観察しました。
二酸化マンガンは、どの条件でもたくさんの泡が発生しましたが、生レバーはどの条件でもほぼ泡が発生しなくなりました。これは、生レバーに含まれる消化酵素(カタラーゼ)がタンパク質で出来ており、液性が変わったり、温度が変わったり すると、タンパク質が変性して(壊れて)触媒として働かなくなってしまったのです。
一方、二酸化マンガンは、鉱物であり、タンパク質より丈夫なため、今回の条件では特に影響を受けませんでした。
体の中で当たり前のように働いてくれている肝臓・・・そして、その働きを支える酵素・・・無意識に働いてくれている酵素の触媒作用に感謝ですね★