実験レビュー
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ドクター・中学受験コース(小学5~6年生)「植物と光合成」
ドクターコースの実験テーマは「植物と光合成」です。6年生理科や中学受験で超超超頻出の、光合成によるでんぷん合成の有無を調べる実験を行いました
今回の目的は、実験結果だけではなく途中の実験操作の意味も考える です。 実はこの実験がテストで出題されるときには、たいてい実験操作の意味についても問われます。
なんで葉をお湯であたためるの? なんで温かいエタノールに入れるの? なんでエタノールを温めるときは湯煎じゃないといけないの?
そういう細かいところまで理解していると良いのですねさっそく、エタノール処理の意味について考えます。 緑色の葉のままだと、ヨウ素液に浸したときの色の変化がわかりにくい事を確認。 それなら葉の色を抜いちゃえばいいよね!ということで、お湯であたためたあとに温かいエタノールに入れます。
「うわ、エタノールが緑になった!」
「メロンソーダみたいな色!」
エタノールが緑色になったということは、葉は?「茶色?ベージュ?・・・色が抜けた!」
「うわ、葉がパリパリになってる!」そうです。エタノールで処理すると、葉が脱色されて、ヨウ素液に浸したときの色の変化が見やすくなるのです。 あと、エタノールには脱水の作用もあります。だから葉が枯れたときのようにパリパリになったのです。
次にお湯の意味について考えます。 お湯で温めないでいきなりエタノールに葉を入れると・・・?
「あれー、エタノールがなかなか緑にならない・・・」 「葉の色の落ち方もイマイチ」
そうなのです。お湯であたためると葉がしんなり柔らかくなりますが、これは葉の細胞が傷ついているからです。 傷ついた状態でないと、エタノールがうまく葉緑素を溶かせず、イマイチ脱色されません。
つまり、「ヨウ素液ででんぷんの有無を調べたい」→「葉の緑色が邪魔だからエタノールで脱色する」→「エタノールがうまく作用するためにお湯であたためる」 ということだったのです。
肝心の光合成とでんぷんの関係も調べました。 光に当てた葉と当てない葉で、ヨウ素液に浸したときの色の変化を見たところ、光に当てた葉は結構黒っぽくなり、光に当てていない葉はヨウ素液のもともとの色に近い、醤油のような褐色になりました。
◆左から 光あり・エタノールなし・お湯あり
光あり・エタノールあり・お湯あり
光あり・エタノールあり・お湯なし
光なし・エタノールあり・お湯あり
うーん、色の違いが伝わるでしょうか・・・?? でんぷんの種類や状態によっても色が変わってくるので、「黄褐色か青むらさき色か」ではなく、「色が濃くなったかどうか」で判断することが大事です。 実際に実験をしてみると、でんぷんがふくまれる葉をヨウ素液に浸しても、わかりやすく鮮やかな青むらさき色になるとは限らないことも学んだのでした。それでは次回もお楽しみに