実験レビュー
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ポストドクターコース(中学1~3年生)3月授業レビュー「状態変化と温度」
「状態変化と温度」~純物質の状態変化と蒸留~
科学において、ものの状態とは「気体」「液体」「固体」の三態を指します。
状態変化とは「固体が液体に変化する」「液体が気体に変化する」といった、ものの状態が変わることです。
水を沸騰させる実験は小学校でも実施しますが、ポストドクターコースではもう少し深堀りし、温度変化についても調べていきます。1つ目の実験は「パルチミン酸」と呼ばれる物質を加熱していきます。
図のような装置を使って、パルチミン酸を湯せんで加熱。
30秒ごとに温度変化をグラフに書き入れ、状態変化も観察します。温度変化とともに試験管の中身にも変化が現れました。
◆試験管内のパルミチン酸が・・・ ◆溶けてきましたね!温度変化はどうだったのでしょうか。
「液体になってくると、温度上昇がにぶくなってきた。」
「全部液体になると、温度が急激に上昇した!」
良く観察できていますね水で考えてみましょう。
鍋に水を入れて、ガスコンロで加熱すると、水の温度は上昇し、100℃ になると沸騰します。
しかし、沸騰中、温度は100℃以上に上がらず、一定となっています。
それはコンロからの熱が、水(液体)から水蒸気(気体)に変化するためにすべて使われるため、水が残っている限りは温度は変わらないのです。
※空焚きすると、非常に高温になるのはこのためです。2つ目の実験では、みりんの蒸留を行いました。
蒸留によって、沸点(物質が沸騰する温度)の違いを利用して、ものを分けることができます。
みりんの中には13~16%のアルコールが含まれており、実験ではアルコールと水を分けることに挑戦しました。真剣な表情で実験していますね
実はこの実験はかなり忙しく、30秒おきに温度変化を記録しつつ、みりんの様子を確認し、蒸留によって出てきた液体を適切に集めねばなりません。
15分ほど格闘した後、3本の試験管に、液体を集めることができました。
そして、この液体の正体を確かめるべく、指につけて様子を見たり、脱脂綿にしみこませてから火をつけました。
「1本目は、指につけるとスーッとするね。火をつけると、勢いよく燃えた」 「3本目は、水っぽい。火もつかないね」このことからも、アルコールと水が分離できていることが実感できたようですね
実際に実験を行い、考えることで、より理解が深まります。
一昔前は、理科は「暗記科目」と言われていましたが、もはや暗記では点数をとることができません。
理論を学ぶことも大切ですが、理論より体験が勝ることもあります。そういう時こそ、実験の出番。
実際に手を動かしながら、知識を得ていくことができます。来月は「顕微鏡の使い方」を学習します。お楽しみに
栄光サイエンスラボ 南柏校 塗師